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読書

感想『The Forests of Silence (Deltora Quest)』

The Forests of Silence (Deltora Quest) 作者:Rodda, Emily Scholastic Paperbacks Amazon 物語の感想 面白かったです。 邪悪な侵略者 ”The Shadow Load”から "Deltora"王国を救うため、魔法の力を秘めた7つの宝石を探す旅が始まります。想像以上にハードな…

感想『The Mystery of the Stuttering Parrot』The Three Investigatorsシリーズ2

The Mystery of the Stuttering Parrot (Three Investigators, No.2) 作者:Arthur, Robert Random House Books for Young Readers Amazon いやあ、面白かった! その昔に読んだ『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』で多読用にオススメされ…

コントラストにクラクラする 安達正勝『物語 フランス革命』感想

物語 フランス革命 バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書) 作者:安達正勝 中央公論新社 Amazon 「フランス革命の手触り感」を得られる本。 革命の進展が分かりやすいだけでなく、当事者たちの人となりが分かるエピソードが豊富で、まさに物語とし…

【要約と感想】 宇野常寛『リトル・ピープルの時代』

リトル・ピープルの時代 作者:宇野 常寛 幻冬舎 Amazon タイトルと装丁が印象的で、いつか読みたいと思っていた。面白かったです。 内容紹介 村上春樹作品の”鑑賞の手引き”になる 2023年に読むと 内容紹介 内容を簡単にまとめると以下のとおり。 我々の生を…

【読書メモとちょっと感想】 鈴木規夫著『日本人にとってイスラームとは何か』

日本人にとってイスラームとは何か (ちくま新書) 作者:鈴木 規夫 筑摩書房 Amazon 素人にはレベルが高すぎる本でした。なんとか理解できた、イスラームの特徴についてだけメモを残しておきます。 イスラームの特徴 イスラームはネットワークの原理である イ…

[感想]小杉泰著『イスラームとは何か:その宗教・社会・文化』

イスラームとは何か〜その宗教・社会・文化 (講談社現代新書) 作者:小杉 泰 講談社 Amazon 世界史を勉強しているなかで、イスラーム世界の国がなかなか覚えられない。アッバース朝くらいまではなんとかなるが、帝国が分裂した後はごちゃごちゃしてややこしい…

結論ありきに感じてしまった 金子勝『平成経済 衰退の本質』感想

平成経済 衰退の本質 (岩波新書) 作者:勝, 金子 岩波書店 Amazon 日本の経済が衰退していった平成の30年間。何が原因だったのかを述べた本。 一言でいうと「自民党政権の無責任体制が悪い」ということなんだけど、結論ありきの決め打ちの書きぶりに感じてし…

こんなに熱血先生だったとは 福沢諭吉『学問のすゝめ』感想

学問のすゝめ (岩波文庫) 作者:福沢 諭吉 岩波書店 Amazon こんなに熱血で、ユーモアあふれる人だったとは。 しゃっきりしろ日本人!というお説教の本である。なのにとても面白い。文章の調子がよくて、そうだ!そのとおり!と合いの手を入れたくなる。演説…

飯尾潤『日本の統治構造』 内容まとめ(と少し感想)

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書) 作者:飯尾 潤 中央公論新社 Amazon 2007年刊行の本。分かったところを図にして要約しました。 1.議院内閣制の理念 2.連鎖のほころび 2.1 与党 → 首相 段階 2.2 首相 → 大臣 段階 2.3 大臣 → 官僚 段階…

データを見ると希望が見える 「FACTFULNESS」感想

FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド 日経BP Amazon ユニセフの2021年版世界子供白書を見てみる。表2には世界各国の子供…

悪魔とは何か『悪魔の話』池内紀著 感想

悪魔の話 (講談社現代新書) 作者:池内 紀 講談社 Amazon 古今東西の悪魔に関する話を集めた本。中世の魔女狩りや、昭和の怪事件「赤マント」など、話題が拡散しすぎてる感もあるけど、よく言うとバラエティに富んでいて面白く読んだ。 ”悪魔”という存在の形…

代助に同情して読む 夏目漱石『それから』感想

それから (角川文庫 緑 1-8) 作者:夏目 漱石 KADOKAWA Amazon リアリストとロマンチストのどちらかで言えば、自分は後者だと思っている。だからなのか、主人公の代助に同情して読んでしまった。 世間体も生活の安定も、何もかも捨てて、愛する人妻と生きてい…

激甘口がクセになりそう 有川浩『植物図鑑』感想

植物図鑑 (幻冬舎文庫) 作者:有川 浩 幻冬舎 Amazon この歳で読むには甘すぎて厳しい。イチャラブ同棲生活も、自分でやるなら楽しいだろうが、読むのはちょっと。。 と思いつつ、いつの間にかハマっていた。紳士的な男の子が若干強引になる場面で、出所不明…

夏目漱石『三四郎』感想 ほろ苦い読後感

三四郎 (新潮文庫) 作者:漱石, 夏目 新潮社 Amazon 三四郎と美禰子、どちらかがあと一歩相手の方に踏み込んでいたら二人は結ばれたような気がして、そこが切なかった。失恋の話だけど、三四郎はまだまだ未来が開けている若者だから、読後感は程よいほろ苦さ…

伊坂幸太郎『火星に住むつもりかい?』感想 平和警察の恐ろしさに震える

火星に住むつもりかい? (光文社文庫) 作者:伊坂 幸太郎 光文社 Amazon ネタばれあります! ・ ・ ・ ・ 〇 平和警察のおぞましさ 犯罪を未然に防ぐという名目で作られた平和警察が怖すぎる。 無実の人たちを捕らえて拷問し、無理やりやっていない罪を自白さ…

『漱石文明論集』感想 「模倣と独立」について漱石の本音を考える

漱石文明論集 (岩波文庫) 作者:夏目 漱石 岩波書店 Amazon 夏目漱石の文明批評に関する発言を、講演録や書簡など小説以外から集めた本。固有名詞さえ変えれば、今朝の新聞の社説ですと言われても分からないくらい。先見の明に驚かされる。 本書に「模倣と独…

夏目漱石『彼岸過迄』の感想

彼岸過迄 (新潮文庫) 作者:漱石, 夏目 新潮社 Amazon 前半は謎が物語を引っ張る。額にほくろのある正体不明の男を調査するなんて、まるっきり探偵小説のノリだ。蛇の頭が彫られたステッキとか、文銭占いでの奇妙なお告げとか、怪しげな小道具も雰囲気を盛り…

夏目漱石『吾輩は猫である』感想

吾輩は猫である (角川文庫) 作者:夏目 漱石 KADOKAWA Amazon 超有名だけど楽しむためのハードル高そうだなあ、という印象を持っていた。というのも「エリートの高級な皮肉の話」というイメージがあったから。 実際に読了して、基本的にはイメージどおりだっ…

『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』の感想 悪魔の怖さと人間賛歌

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書) 作者:荒木 飛呂彦 集英社 Amazon 荒木先生が好きなホラー映画について語る本。深く批評するというよりは軽妙なトークといった感じで、読んでいて楽しい。 気になったのが「悪魔が一番怖い」というところ。 とい…

夏目漱石『道草』感想

道草 (新潮文庫) 作者:漱石, 夏目 新潮社 Amazon 島田の態度がだんだんデカくなって、しまいには金を貸すのが当然だ、貸さない方がおかしい、みたいになるのは読んでて腹が立った。健三はそんな島田に会うのが嫌でたまらないのに何回も会ってしまう。そして…

大岡昇平 『野火』 感想

野火(新潮文庫) 作者:大岡 昇平 新潮社 Amazon その時変なことが起った。剣を持った私の右の手首を、左の手が握ったのである。 大岡昇平著 『野火』 改版,新潮社,1987,p.131 法律は海の彼方だ。モラルも常識も熱帯の森の中で腐り果てている。そんなフィ…

夢枕獏『上弦の月を喰べる獅子』の感想 ネタバレあり

ネタバレあります 上弦の月を喰べる獅子(上) 作者:夢枕 獏 早川書房 Amazon 上弦の月を喰べる獅子(下) 作者:夢枕 獏 早川書房 Amazon ハヤカワ文庫で読んだ。 まず、すこし残念だったことは、下巻で物語が失速してるように思えたこと。 後半は会話が主体…

鈴木大拙 『禅と日本文化』 感想 

禅と日本文化 (岩波新書) 作者:鈴木 大拙 岩波書店 Amazon 何となく、禅の目指すところが分かった気がする。 禅は、無明(アヴイデイア)と業(カルマ)の密雲に包まれて、われわれのうちに睡っている般若を目ざまそうとするのである。無明と業は知性に無条…

柄谷行人 『世界共和国へ』 要約と感想

世界共和国へ: 資本=ネーション=国家を超えて (岩波新書) 作者:柄谷 行人 岩波書店 Amazon 分かったところを書きます。 1.本書の目的 2.考察の方法 3.資本制以前の世界(=世界帝国)の構造 4.資本制以後の世界(=世界経済)への転換 5.「資本=…

夏⽬漱⽯ 『こころ』 感想

こころ (ちくま文庫) 作者:夏目 漱石 筑摩書房 Amazon ミイラ状態でも何でもいいから、奥さんのために生きてろや、というのがまず思ったところ。 「私は世の中で女というものをたった一人しか知らない。妻(さい)以外の女はほとんど女として私に訴えないの…

夏目漱石 『行人』 感想

行人 (新潮文庫) 作者:漱石, 夏目 新潮社 Amazon 「兄さんに対して僕がこんな事をいうと甚(はなは)だ失礼かもしれませんがね。他(ひと)の心なんて、いくら学問をしたって、研究をしたって、解りっこないだろうと僕は思うんです。兄さんは僕よりも偉い学…

十川信介『夏目漱石』 感想

夏目漱石 (岩波新書) 作者:十川 信介 岩波書店 Amazon これから夏目漱石をちゃんと読んでいきたい。その予習のために読みました。 作品ごとに簡潔な評論が書かれているんだけど、ここは予習じゃなくて復習で読むべきだなと思った。人間関係が複雑なのに粗筋…

「本当の戦争の話」と「本当でない戦争の話」 ティム・オブライエン『本当の戦争の話をしよう』感想 

本当の戦争の話をしよう (文春文庫) 作者:ティム・オブライエン 文藝春秋 Amazon 「本当の戦争の話」とは”無意味”である 「本当でない戦争の話」とは”救済”である 「本当の戦争の話」とは”無意味”である そう思った。 この「無意味」とは「空虚」というニュ…

五木寛之『親鸞』感想 「分かる」から「信じる」へ

親鸞(しんらん)(上) 【五木寛之ノベリスク】 (講談社文庫) 作者:五木寛之 講談社 Amazon 親鸞(しんらん)(下) 【五木寛之ノベリスク】 (講談社文庫) 作者:五木寛之 講談社 Amazon ネタばれあります! 面白くて一気に読んだ。 どんな話かというと、 親…

『坊っちゃん』感想 キャラ立ちがすごい

坊っちゃん (角川文庫) 作者:夏目 漱石 KADOKAWA Amazon 面白かった。 痛快娯楽小説として楽しみました。 登場人物がみんな個性的。加えて坊っちゃんがやたらしっくりくるあだ名をつけるもんだから、キャラが立ちまくっている。校長の狸、教頭の赤シャツ、そ…