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悪魔とは何か『悪魔の話』池内紀著 感想

古今東西の悪魔に関する話を集めた本。中世の魔女狩りや、昭和の怪事件「赤マント」など、話題が拡散しすぎてる感もあるけど、よく言うとバラエティに富んでいて面白く読んだ。

”悪魔”という存在の形而上学的、神学的な考察が印象に残った。キリスト教において、神と悪魔の関係をどう解釈したのかという話。

神は(1)善で(2)全知全能である。悪魔の存在はこの前提を突き崩す。悪魔は神によって創造されたか、神から独立した存在か、どちらであるが、

 教父たちは考えた。悪が神から生じることはありえない。なぜなら悪は神と対立するものだから。

池内紀著『悪魔の話』講談社,1991,p.31

すなわち、神によって創造されたとすると、神の特質(1)善であることの否定となる。じゃあ、やっぱり神から独立した存在なのかと言うと、

 悪魔は独立の原理ではありえない。存在するすべては神から生じたのだから。

同p.31

今度は神の特質(2)全知全能であることの否定となる。どちらにせよ神の否定に繋がってしまうのだ。この矛盾から導かれる結論は次のとおり。

 とすると悪は、それ自体が無であって存在そのものの欠如にあたり、部分的な欠乏ということになる。存在するのではなくて存在の影。

同p.31

悪魔とは存在の欠如、空虚である。この定義分かる気がする。読んでいてぞっとした。(が、よく考えると、この解釈でも神の全能性を否定してる気がしないでもない。。)

 

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