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[感想]小杉泰著『イスラームとは何か:その宗教・社会・文化』

世界史を勉強しているなかで、イスラーム世界の国がなかなか覚えられない。アッバース朝くらいまではなんとかなるが、帝国が分裂した後はごちゃごちゃしてややこしい。

そこで、イスラームについて知識を深めれば印象に残って覚えられるのではないかと思い、本書を読んだ。

 

読んだ感想は、とてもおもしろかった。読者に予備知識がないことを前提に書かれているため、記述が丁寧で分かりやすい。

ムハンマドによるその創始から、コーラン(より原音に近くは”クルアーン”)、スンナ派シーア派パレスチナに典型される現在進行形の紛争など、イスラームの概要を過不足なく知ることができる。

世界史の勉強という観点から言えば、アッバース朝以降のイスラーム世界の歴史について、もっと詳しく知りたかったかな、とも思う。ただこれは無いものねだりで、全体としては大満足だった。

あと若干余談だけど、コーランの章のタイトルには印象的なものが多いことを知った。「開扉章」「凝血章」「悔悟章」「夜の旅章」などかっこいい。

 

本書の刊行は1994年だから、30年近くたっている。この間、アメリ同時多発テロアフガニスタン紛争、イラク戦争アラブの春、IS(イスラミック・ステイト)など、イスラーム世界に関する大事件が数多く起こっている。これらについて小杉先生が書かれたものも是非読みたい。

 

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