0.はじめに
ヨーロッパの多彩な哲学は、すべて2つの土台、
の上に立っているという視点で書かれた本。
第1章でギリシアの思想について、第2章でヘブライの信仰について述べられる。
そして第3章では、これらの影響を受けたヨーロッパ哲学について、具体例が挙げられる。
第3章が急に難しい。まずは第2章までの要約です。
1.ギリシアの思想
ギリシアの思想の根幹は2つある。
(1)人間の自由と平等の自覚
(2)理性主義
(1)人間の自由と平等の自覚
前700年頃からギリシア人は歴史の表舞台に姿を見せ始めた。広大な地中海周辺地域に植民地を建設し始めた。
前520年、史上空前の大帝国、ペルシア帝国が出現する。このことにより、相互に争いあっていたギリシア人たちは、独自の生き方・考え方を守る一つの文化的統一体として、自身を自覚するようになった。
その生き方・考え方とは次のようなものである。我々ギリシア人は、一人一人、自由で平等である。絶対権力者の命令のもとに生きるべき者ではなく、公平な法の基に生きるべき者である。民主制こそが人間のとるべき社会体制である。
(2)理性主義
理性主義の根幹は、本質の探究である。多様な現象世界の根底に、それの基となる唯一の実体があると考えたことから、哲学が始まった。
理性主義は哲学のみならず、ギリシア人が作り出した他の文化、文学や建築や彫刻にも通底している。ギリシア悲劇は、人間の普遍的な真実と見定めた理念、本質に迫ろうとする。ギリシアの建築は、形、均斉、対象、様式の結晶であり、論理と明晰さ、理性の統御がある。
2.ヘブライの信仰
ヘブライの信仰すなわちユダヤ教とキリスト教では、以下の3点が根幹となる。
(1)唯一の超越的な神が天地万物の創造主である
(2)神が「自己の姿似」として人間を創造した
(3)神の限りないやさしさ
(1)唯一の超越的な神が天地万物の創造主である
『創世記』では、神は無から世界を創造した。これは神が世界から絶対的に断絶しており、世界を超越しており、世界内のいかなる存在者にも帰属しない、ということを意味する。
(2)神が「自己の姿似」として人間を創造した
神に似せて人間は作られた。では人間の特徴は何か。1つ目は唯一性・絶対性である。唯一絶対の神と同様に、人間は一人ひとり唯一絶対の存在である。
もう一つ特徴がある。神は「他者を呼び迎える」神であり、愛である。したがって人間も、他者を求める者、愛する者である。
(3)神の限りないやさしさ
これは、キリスト教にて明確となる特徴である。神は人間の罪をはじめから無条件に背負っていて、無限に赦す。神は相手の善悪に関わらず善業を送り続ける。
3.ヨーロッパ哲学のあゆみ
第3章では「ギリシアの思想」と「ヘブライの信仰」を土台とした、ヨーロッパ哲学の歩みの具体例が挙げられる。列挙すると以下のとおり。
アウグスティヌス 三位一体説
トマス・アクィナス 存在に関する考察
オッカム 唯名論
ルター
デカルト 方法的懐疑
カント
ヒューム 因果律の批判的考察
ロック
ロールズ 正義論
キルケゴール
ニーチェ
ハイデガー
レヴィナス
4.おわりに
論理が明快で分かりやすい。が、第3章は難しくてあまり理解できていない。。キルケゴールは前に『死にいたる病』を読んだから何となく分かった。
もともと出自が全く違う「思想」と「信仰」が、どんな感じで混じり合っていくのか、ぜひ勉強したい。ギリシア哲学の普遍性を求めるところと、キリスト教の人間一人ひとりの唯一絶対性なんて、まともに矛盾すると思う。どんな風に解決が図られているのか気になる。
今、本書の読書案内に挙げられていたこの本を読んでいる。理解を深めていきたいです。