日本の経済が衰退していった平成の30年間。何が原因だったのかを述べた本。
一言でいうと「自民党政権の無責任体制が悪い」ということなんだけど、結論ありきの決め打ちの書きぶりに感じてしまった。データに基づいた深い分析がなされておらず、納得感が得られなかった。
一つ、かなり気になった点を挙げる。本書のp.171以降で、貿易赤字化が進行してることが問題として挙げられ、その原因として日本の産業が衰退していることが述べられている。
もちろんそれも原因だろう。だけど、火力発電所の燃料輸入が大幅に増えていること、元をたどれば2011年以降原子力発電所が停止してることも、極めて大きな原因だ。上のような図を示しておいて、この点に触れていないのはすごく不自然に思った。
本書の中には、脱原発を進めるべきだという主張が各所にあるので、何だか、論旨に合わない都合の悪いことを書いていないんじゃないか、と勘繰ってしまった。(ただ、原発から再エネにエネルギー転換するべきという主張なので、一概に論旨に合わないとは言えないが)
ためになったところとして、最後についている文献案内は、門外漢にはありがたいです。