ネタばれあります!
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〇 平和警察のおぞましさ
犯罪を未然に防ぐという名目で作られた平和警察が怖すぎる。
無実の人たちを捕らえて拷問し、無理やりやっていない罪を自白させる。自白したら危険人物だからギロチンで公開処刑、自白しなければ死ぬまで拷問。
そんな平和警察には嗜虐心が強い”適性”のある警察官が配属されていて、嬉々として人々を痛めつける。人を死に追いやることにこれっぽっちも罪悪感を持っていない。
伏線がきれいに回収される物語の展開は見事だけど、爽快感を覚える余裕がなかった。ただただ恐ろしさに震えて読んだ。
〇 日本国憲法 第36条について
本の感想から離れてしまうんだけど、書きたいから書く。
我が国の憲法で唯一”絶対”という言葉が使われているのが第36条だ。
第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
戦前、思想犯を取り締まり拷問を行っていた特高警察に対する反省から設けられた条文だ。(本書でも特高警察の拷問で獄死した小林多喜二の話が出てくる)
ところで、政権与党の自民党は憲法の改正を目指しており、その草案を公開している。第36条の改正案は次のとおり。
第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、禁止する。
”絶対に”がしれっと削除されている。どのような意図で削除したのか理由は不明だが、草案を作成した人たちがその方がよいと思っていることだけは確かだ。
ブログ筆者は、公務員による拷問は例外なく絶対に禁止した方がよいと考えるから、この改正案については反対である。そして、なぜ削除したのか説明していないことに不信感を覚える。
平和警察がいたら、こんな現政権に反対する記事を公開した時点で危険人物にされるのだろう。怖すぎ。