書きたいことを書きたいだけ

書きたいことを書きたいだけ書くブログ

十川信介『夏目漱石』 感想

これから夏目漱石をちゃんと読んでいきたい。その予習のために読みました。

 

作品ごとに簡潔な評論が書かれているんだけど、ここは予習じゃなくて復習で読むべきだなと思った。人間関係が複雑なのに粗筋の紹介が簡単すぎて、どんな話かよく分からない。作品を読んだことがある人向けに書かれているように感じた。あとで再読したい。

 

と、理解が及ばなかったところもあったけど、漱石の人となりや人生観を知れたのはよかった。例えば、

一旦起ったことは、表面に出なくとも生き続け、突如として現れることもあるだろう。それは「過去」に対する漱石の考えでもあった。

十川信介著 『夏目漱石』 岩波書店,2016,p.228

といったことは、今後作品を読んでいくヒントになりそう。

 

あと印象に残ったのが、漱石に対する著者の態度。愛のある遠慮のなさが面白かった。ロンドン留学中のエピソードで、

漱石は)シェイクスピア学者のクレイグの個人指導を受けることになった。「一時間 5 shiling ニテ約束ス 面白キ爺ナリ」と漱石は記している。変人同士で気が合ったのだろう。

十川信介著 『夏目漱石』 岩波書店,2016,p.66 括弧内はブログ筆者注

とか、奥さんと娘さんの写真について、

「御ふた方の御肖像をストーヴの上へ飾つて置た」ら、「下宿の神さんと妹」(ステロードの宿)が見て、「大変可愛らしい」とお世辞を言ったので、「何日本ぢやこんなのは皆御多福の部類」で、美しいのはもっと沢山いると「愛国的気焔を吐いてやつた」。上機嫌である。

十川信介著 『夏目漱石』 岩波書店,2016,p.97

とか、笑ってしまった。

 

先日『坊っちゃん』を読んだ。次は『行人』を読みます。

mura-sou.hatenablog.com

 

mura-sou.hatenablog.com