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夏目漱石『三四郎』感想 ほろ苦い読後感

三四郎と美禰子、どちらかがあと一歩相手の方に踏み込んでいたら二人は結ばれたような気がして、そこが切なかった。失恋の話だけど、三四郎はまだまだ未来が開けている若者だから、読後感は程よいほろ苦さだ。

 

美禰子はどうして三四郎を選ばなかったのかな。彼に好意を抱いていたようだし、逆に結婚した男を特に好きだったわけでもなさそうだ。古い因習からも自由な女性のように思えた。二人で駆け落ちしてどこまでも行く、という結末でもよかった気がするけど、何がそうさせなかったのだろう。。

 

これまで読んできた漱石の作品と比べると、ロマンチック度が群を抜いている。「迷える子ストレイシープ」のくだりはロマンチック過ぎて読んでいて少し照れてしまった。あと、三四郎は共感を覚えやすい主人公だと思った。漱石の作品の主人公は基本何かに悩んでいるけど、後期三部作とかだと悩みが底なし過ぎて簡単に共感できない。それと比べて、青春の恋に悩む三四郎には親近感を覚えた。

 

次は『それから』を読みます。

 

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