ドキュメンタリー映画「太陽の塔」感想。
「太陽の塔」を主題として、岡本太郎の思想が様々な分野の専門家によって語られる映画です。
章立てはこんな感じ。
1.EXPO 万博
2.CREATION 創造
3.TARO 太郎
4.ORIGIN 起源
5.SYSTEM 支配
6.MYTH 神話
7.RESONANCE 共鳴
8.MANDALA 曼荼羅
9.GIFT 贈与
・・・
1970年大阪万博、テーマは「人類の進歩と調和」。
展示物は宇宙船、ロボット、動く歩道。万能の科学技術が、貧困も環境問題も不平等も解決する。
万博は、来るべき幸福な21世紀をデモンストレーションする場だった。
岡本太郎はこの思想を真っ向から否定する。科学技術の発展と、人類の幸福は無関係と考えている。
そして、未来志向、技術礼賛の対極に位置する「太陽の塔」を創った。
太陽の塔は、生命のイメージに満ちている。姿形からして巨大な生き物のようだ。
胎内は鮮血の赤で塗られており、生物の進化を示した、生命の樹と呼ばれるモニュメントが生えている。
万博会場で異質な存在であり、明らかに調和を破壊している。しかし、妥協に妥協を重ねた調和に何の意味があるのか。
憎まれてもいい、嫌われてもいいと思い、正反対のものがぶつかり合うことが必要と太郎は考える。
技術文明を抱きかかえられるような、新たな神話を作ろうとした。
・・・
自分が科学という言葉を初めて意識したのは、ドラえもんだった。
時々、タイムマシンに乗って22世紀の世界へ里帰りする話があるが、そんな話は特に好きだった。
超高層ビルが立ち並び、車が空を飛ぶ未来都市にわくわくした。
そんなわけで、科学は人を幸せにする、ポジティブなものだという考えを、いまだに持っている。
科学のおかげで、健康で、清潔で、安全に暮らしている。
自分のような凡人には、これを真っ向から否定することはできない。
でも、3.11の後、岡本太郎の思想がすごく身に迫ってくるのも確かだと思った。
・・・
話が拡散しがちだったり、原子力利用に関する部分が不自然に長かったり、ちょっとわからないとこもあったけど、面白かった。
音楽、画もかっこよくて、アキラとかエヴァが好きならびびっとくると思う。
コロナが落ち着いたら生で見てみたい。