!ネタバレあります!
テレビでナウシカをやっていたのでついつい観た。何回目かな。
で、”その者蒼き衣をまといて・・・”の伝承が、物語の中で異質な感じがして、妙に気になった。
映画版のナウシカの世界では、基本、超常的な事は起こらない。
腐海や巨神兵といった異世界ファンタジーっぽい物も、過去の文明のテクノロジーにより創りだされたものだ。ファンタジーじゃなくて、SF。
というわけで、ストーリーは科学的に説明できるんだけど、一点だけ科学を超越したことが起こる。
それが、上で書いた伝承の成就だ。
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伝承は、救世主の出現を予言するもので、全文は以下のとおり。
”その者蒼き衣をまといて金色の野に降り立つべし。失われし大地との絆を結び、ついに人々を蒼き清浄の地に導かん。”
伝承が語られるのは、2つのシーンのみ。
物語の前半、ユパ様の運命に関する会話の時と、クライマックスでナウシカが復活して、予言が成就したとされる時。
両方ともおばば様が語る。
で、ここだけが映画の中でオカルトで異質な感じで、無くてもいいんじゃないかなと思った。
この2つのシーンを丸っとカットしても、ストーリーは問題なく繋がる。
けど、考えてみると、このエピソードは決定的だ。
夢落ちのお話の、「太郎君はベッドで目を覚ましました」という一文のように、物語の土台を覆す。
なぜなら、伝承の成就が語られることによって、ナウシカの復活は奇蹟となるからだ。
宮崎駿は、これにより、物語のジャンルをSFから神話に変えたかったんじゃないかなと思った。
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このエピソードで、物語が一気に宗教色を帯びる。
宮崎駿の宗教観とかも気になるので、今後考えていきたいと思った。
何回観ても発見があって面白い。