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映画「ジキル博士とハイド氏」(1931)感想 自分自身からは逃げられないのが恐い

今週のお題「最近見た映画」

 

!ネタバレあります!

 

近くの図書館にこんなDVDが置いてあり、見てみた。

 

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3巻、紹介されている映画は100作品以上、7時間半の大ボリューム。

 

恥ずかしながら淀川先生の解説をしっかり聞いたことがなく、始めはちょっと乗れなかった。主語述語がふわっとしてたり、話の途中で不思議な間が入ったりする。

けど、連続して何本も解説を聞いていると、だんだんリズムが分かってくる。

そして、呼吸が合ってくると、映画の面白さがどんどん伝わってきて、どんどんどんどん映画が見たくなる。

 

勉強不足で初めて聞いた映画ばっかりだった。紹介されたものをちょっとずつ見ていこうと思っている。

 

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ジキル博士とハイド氏」を見ました。

 

淀川先生の解説全文がこちらで公開されている。ちなみに淀川先生は「ジーキル」と伸ばして発音される。

 

www.ivc-tokyo.co.jp

 

舞台は19世紀ロンドン。

ジキル博士は、上品で自信に満ちた、立派な紳士だ。医学博士のようで、貧しい人々を熱心に治療している。

進歩的なものの考え方をする人物で、科学にタブーは無く、真理の探究を最も重要なことだと見なしている。

 

彼の研究によると、人間の精神は「善」と「悪」の二重構造となっている。この二者を分離すれば、「善」はどこまでも気高くなり、「悪」も問題を起こすことがなくなるのだという。

これを実証するため、精神を分離させる薬品を作り、自らに試す。

すると、ジキルの端正な顔立ちは野人のように変化し、悪の人格ハイドが現れる。

 

ジキルには婚約者がいるが、その父親の保守的な考え方のせいで中々結婚が許されない。

苛立ったジキルはハイドとなり、悪行を働く。

次第に、ハイドがジキルを支配するようになり、、、という話。

 

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なにより、ハイドの恐さが印象に残る。

モラルや常識はジキルが分担しているため、ハイドには躊躇がない。性欲に従って女を凌辱し、邪魔な奴には簡単に暴力を振るう。野獣だ。

ステッキで人を殴っているシーンで、気づくとステッキが折れていたところはゾッとした。

そして、自分の中にいるため、どこにも逃げ場がない。

後半、ジキルが神に許しを請い、助けを求めながらも、結局ハイドになってしまう場面は、すごく恐ろしく、ジキルが可哀そうだった。

 

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主人公の一人称視点とか、ジキルからハイドに徐々に人相が変わっていくところとか、面白い映像が多くて、お客さんびっくりさせたる!という監督のサービス精神を感じた。

 

記憶に残ったシーンは、雨が激しく降りしきる夜のロンドンを、ハイドが女に会いに行く場面。

白黒映画特有の深い闇の中を、愉快そうに歩いていくジキルは、恐ろしさと美しさが共存している画だと思った。

ハイドが顔いっぱいに雨を浴び、解放された歓びを味わうところも印象的だ。

ショーシャンクの空に」の有名なシーンを思い出した。

 

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淀川先生の解説にもあったが、どんな人間も持っている、心の二面性を上手く使った映画だ。

自分の卑怯さにうんざりしたり、こんなに品性下劣な人間だったのかと悲しくなることが、たまにある。

心の中にハイドがいることは間違いない。が、ジキルだっているはずと信じていきたいものだなあ、と思った。

 

しかし、見たい作品が沢山できて、嬉しいです!

 

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