高校数学の勉強をしている。その中でのような合成関数がよく分からない。イメージがなかなか湧かない。ということで合成関数の視覚的なイメージについて考えた記事です。「レーザー光線の屈折」がしっくりきました。
※記事中のグラフ作成には関数グラフソフトGRAPESを使用させて頂きました。リンク
1.レーザー光線で関数の値を求める
次のの関数を考える。
のとき、はいくつだろうか。代数的には次の計算により求められる。
この操作を図1のように視覚的にイメージしてみる。
図1には のグラフ(放物線)が描かれている。少し突飛なイメージだが、の直線に沿って、レーザー光線を発射する。レーザーはグラフにぶつかる。このぶつかった点の座標を読み取ると、その値がである。
一般化すると、の時のの値は、の直線に沿ってレーザーを発射して、のグラフとぶつかった点の座標である。
2.g(x)は屈折装置
本題の合成関数について考えよう。
として、合成関数
について考える。
のとき、はいくつか。代数的には次の計算をすればよい。
この操作の視覚的なイメージが図2だ。
の値を求めたいのだから、直線に沿ってレーザーを発射し、グラフとぶつかった点の座標を見ればよい。前の例ではレーザーは発射地点から直進してグラフにぶつかったが、今回は違う。途中にという関数があることで、直線 の位置に"屈折"する。レーザーの屈折によりグラフとぶつかる点が変わる。
このように、合成関数の内側の関数(ここでは)は、レーザーの屈折装置としてイメージすることができる。
3.合成関数のグラフ
引き続き同じ合成関数について考える。
のグラフはどのような形になるだろうか。式は次のように求められる。
そして図3がそのグラフである。
このグラフと前述したレーザーのイメージとの関係は次のようなものである。図4 に示すようにレーザーを様々な直線に沿って発射し、グラフとぶつかった点の座標=を記録する。
記録の一部は以下の表のようになる。このようにして得られた点の集合が のグラフとなる。
4.屈折の様子の例
はレーザーの屈折装置であるが、どのように屈折するかは関数の形によって異なる。具体例を見てみよう。以下では、屈折した後のレーザーの位置をで表す。(すなわち とおく)
4.1 g(x)=2xの場合
図5のように、の2倍の値の位置に屈折する。
4.2 g(x)=-xの場合
図6のように、0に関して対称の位置に屈折する。
4.3 g(x)が二次関数の場合
が二次関数の場合について考えてみよう。もっとも簡単な二次関数
の場合、図7のように屈折する。
すこし複雑だが、次のように整理すると分かりやすい。
これまで、レーザーをある位置から発射した場合、どの位置に屈折するかを考えてきた。ここでは逆に、ある位置に屈折させるには、どの位置から発射すればよいかを考えてみる。
いまであるから、これをについて解くと、となる。したがって、
\begin{eqnarray}
x = \left\{ \begin{array}{ll}
解なし & (t<0) \\ 0 & (t=0) \\ \pm \sqrt{t} & (t>0) \\
\end{array}\right.
\end{eqnarray}
よって、の領域により次のような性質があることが分かる(図8)。
・どのような位置からレーザーを発射しても、の位置に屈折することはない。
・の位置に屈折するのは、1か所の位置からレーザーを発射したときのみである。
・の位置には、2か所の位置から発射したレーザーが屈折する。
最後により一般的な次の2次関数を考える。
どのような屈折が起こるか調べてみよう。
とおく。この等式を満たすは
を満たすと等しい。
よって解の公式によりについて解くと、
したがって、の符号により場合分けをして
\begin{eqnarray}
x = \left\{ \begin{array}{ll}
解なし & (t<-4) \\ -1 & (t=-4) \\ -1\pm\sqrt{t+4} & (t>-4) \\
\end{array}\right.
\end{eqnarray}
よって、の領域により次のような性質があることが分かる(図9)。
・どのような位置からレーザーを発射しても、の位置に屈折することはない。
・の位置に屈折するのは、1か所の位置からレーザーを発射したときのみである。
・の位置には、2か所の位置から発射したレーザーが屈折する。