書きたいことを書きたいだけ

書きたいことを書きたいだけ書くブログ

物理現象は怖い 映画「タイタニック」感想

ラブロマンス要素より、パニックものの印象が強く残った。それにしても怖い。何が怖いかというと、物理現象が怖い。

氷山にぶつかった後、タイタニック号の設計者が次のように言う。

「沈没を防ぐ手はないんだ。タイタニックは海に沈む」

「沈まない船なのに?」

「鉄で出来ている以上沈みますよ。物理的に言って。沈むのは確実です」

比重の大きな鉄は海に沈む。水は低きに流れる。そのことで何百人の尊い命が失われようが関係ない。

物理現象に情状酌量はない。人間の事情に頓着しない。まさに物理もののことわりに従うわけだ。その無慈悲さが恐ろしい。神の不在ということを考えてしまう。

映画の中で一番怖かったのは照明弾のシーン。沈みかけ、混乱する船上から照明弾が打ち上げられる。刹那に、はるか遠くの上空からタイタニックを眺めるカットに切り替わる。広大な暗黒の海、その真中に小さくタイタニックが浮かんでいる。照明弾の光のあまりの頼りなさ、船を取り巻く闇のあまりの大きさ、その対比が絶望を雄弁に語る。寒気がした。

恋敵のキャルは、実際付き合うのは嫌だが、映画の悪役キャラとしては好きだ。手段を問わず、何としても生き残ろうとする執念がよい。冷静沈着だが一瞬ブチ切れるところもいいと思った。

 

mura-sou.hatenablog.com